bindの設定
設定前の準備
WebARENAのVPSでは、初期状態ではドメイン名が設定されていません。
ドメイン名を使用してサーバーにアクセスするにはお客さまにて独自ドメイン名を取得して頂き、
そのドメインのゾーン情報を管理するネームサーバーを構築して頂く必要がございます。
ネームサーバーはお客さまの任意のサーバーをご利用になれますので、必ずWebARENAのVPS上で構築しなければならないという事はござい
ません。他にご利用になれるネームサーバーをお持ちのお客さまはそちらをご利用頂くことも出来ますが、 WebARENAのV
PS上にネームサーバーを構築してご利用頂くことが出来ますのでここではその方法をご案内致します。
VPS上にネームサーバーを構築する場合は、ドメインを取得したレジストラ(ドメイン名取得業者)を通じて お客さまの独自ドメインのネームサーバーを登録しておく必要がございます。
WebARENAのVPSをご利用になるお客さまは、VPSのIPアドレスを登録して下さい。
また、弊社のセカンダリネームサーバーをご利用になるお客さまはあわせて下記のサーバーを ネームサーバーとして登録しておいて下さい。
ドメイン名:ns4.sphere.ad.jp
IPアドレス:202.239.113.30
登録の具体的な方法はレジストラによって異なりますので、ドメインを取得したレジストラにお問い合わせ下さい。
設定する内容
ここでは既に以下の準備が整っているものとして、 WebARENAのVPS上にプライマリネームサーバーを構築する方法を説明しています。
- 独自ドメイン名の取得が完了している。
- レジストラを通じVPSのIPアドレスをネームサーバーとして登録している。
以降の説明は、例として以下のようなご利用形態を前提として記述しています。
実際に設定頂く際には、ドメイン名、IPアドレスはお客さまのものに置き換えて設定を行って下さい。
- WebARENAのVPSのIPアドレスを「192.0.2.5」とする。
- ドメイン名を「example.com」とする。
- ゾーンファイル名を「example.com.db」(/var/named/example.com.db)とする。
- セカンダリネームサーバーとして「ns4.sphere.ad.jp」を使用する。
- VPS上に http://www.example.com/ というアドレスのWebサーバーを構築する。
- VPS上に ******@example.com というメールアドレスを使用するためのメールサーバーを構築する。
ネームサーバーに設定する内容はお客さまのご利用形態によって変わりますが、 オンラインマニュアルに記載されていない設定については弊社のサポート対象外となります。
この例と異なるご利用形態でお使いになる場合はbindの設定方法について解説されている 書籍・Webサイト等をご参考にゾーンファイルの内容を書き換えてご利用下さい。
bindの設定手順
WebARENAのVPSには初期状態で「bind」というネームサーバープログラムがインストールされています。 ネームサーバーを構築する場合は下記の手順でbindの設定を行って下さい。
WebARENAのVPSのCentOS5では、/etc/named.conf、/var/named/example.com.db に、設定例を元にしたサンプルが設置/記述されております。
- /etc/named.conf は、example.com をお客さまのドメインに置き換えて頂くだけで、下記と同様の設定になります。
-
/var/named/example.com.db の中身は、下記でご案内している内容と異なります。
ドメイン名、IPアドレスを置き換えて頂くことで、ご利用頂くことが可能ですが、 bindの知識をお持ちでない方は、以下マニュアル通りに設定してご利用頂くことをお勧めいたします。
サンプルのゾーン /var/named/example.com.db は、残したまま運用いただいても問題ございません。
- サーバーにSSHで接続し、rootアカウントを使用してログインします。
-
以下コマンドを実行し、rndc.keyを発行して下さい。
rndc.key を発行するコマンドは以下の通りです。[root@localhost ~]# rndc-confgen -a -b 256 -r /dev/urandom -u named wrote key file "/etc/rndc.key"
-
viなどのテキストエディタで /etc/named.conf ファイルを開いて下さい。
viで /etc/named.conf ファイルを開くコマンドは以下の通りです。[root@localhost ~]# vi /etc/named.conf
ファイルの末尾に以下の設定を記述して下さい。
- file・・・ゾーンファイル名を設定します。
- allow-transfer・・・ゾーン転送するセカンダリネームサーバーを制限します。
zone "example.com" { type master; file "example.com.db"; allow-update { none; }; allow-transfer { 202.239.113.30/32; }; };
-
viなどのテキストエディタで /var/named/example.com.db ファイルを開いて下さい。
viで /var/named/example.com.db ファイルを開くコマンドは以下の通りです。[root@localhost ~]# vi /var/named/example.com.db
入力画面が表示されたら、ファイルの内容を以下のように記述してファイルを上書き保存して下さい。$TTL 86400 @ IN SOA ns.example.com. root ( 2010052001 ; serial 3H ; refresh 15M ; retry 1W ; expiry 1D ) ; minimum IN NS ns.example.com. IN NS ns4.sphere.ad.jp. IN MX 10 @ IN A 192.0.2.5 ns IN A 192.0.2.5 www IN A 192.0.2.5
ドメイン名の最後に「.」(ピリオド)が書いてある箇所がありますが、これはbindの設定ファイル(ゾーンファイル)の書式上必要なものです。 「.」を外すと正しく動作しなくなりますので、ご注意下さい。SOAレコード(「SOA」と書いてある行)とNSレコード(「NSと書いてある行」)で指定するネームサーバーのドメイン名は レジストラに登録したネームサーバー名と一致させて下さい。このファイルの内容を後から再編集する場合は「serial」の左に書かれている数字を今までより大きい数字に書き換えて下さい。\ この数字はシリアル番号と呼ばれるもので、数字を増やすことにより セカンダリネームサーバーに設定ファイル(ゾーンファイル)の内容が更新されたことを知らせる仕組みになっています。
数字は4294967295以下の数であればどのような内容でも差し支えありませんが、 一般的に変更した日の日付に2桁の通し番号を付加した数字を記述することが慣例となっています。 -
以下のコマンドを実行し、bindを起動して下さい。
[root@localhost ~]# service named start
- SSHで接続先を example.com と入力しアクセスしてみて下さい。 ドメイン名で接続した場合にもIPアドレスを 使用してアクセスした時と同様にアクセスできれば正しくネームサーバーが動作しています。
自動起動の設定
bindを起動するとネームサーバーとして動作するようになりますが、 そのままの状態ではOSを再起動するたびに手動でbindを起動しなければなりません。
OSの再起動と同時に bind を自動起動したい場合は、chkconfig で named をon に設定して下さい。 chkconfig
の設定方法は、オンラインマニュアル内
サービスの自動起動設定
に掲載しておりますのでご参照下さい。
バーチャルドメイン設定
Webサーバーやメールサーバーのバーチャルドメイン機能を使用して複数のドメイン名をご利用になる時は、 2つ目以降のドメイン 名を使用するための設定を行う必要があります。 設定方法は複数の独自ドメイン名 を使用する場合と、1つの独自ドメインでサブドメインを作成する場合で若干異なります。
[ 複数の独自ドメイン名を使用する場合 ]
すでに「example.com」という独自ドメイン名を使用している状態で「example.jp」という別の独自ドメイン名を使用する場合など、 複数の独自ドメイン名を使用する場合の設定手順はこのページの「bindの設定手順」に記載されている手順とほぼ同じです。 1. ~ 4. の手順に従って追加する独自ドメイン名を設定した後、以下のコマンドを実行し、新しい内容を有効にして下さい。
[root@localhost ~]# service named reload
[ 1つの独自ドメインでサブドメインを作成する場合 ]
すでに「example.com」という独自ドメイン名を使用している状態で「homepage.example.com」というサブドメインを使用する場合など、
1つの独自ドメインでサブドメインを作成してバーチャルドメインを使用する場合の手順です。
サブドメインを作成する場合、/etc/named.confファイルをさらに編集する必要はありません。 /var/named ディレクトリに
作成されている独自ドメイン名のゾーンファイル(例では /var/named/example.com.db)にサブドメインの設定を追加します。
ここでは例として以下のようなご利用形態の場合の設定方法をご案内します。
- すでに設定してある http://www.example.com/ というアドレスのWebサイトを使用する設定に加え、 Webサーバーのバーチャルドメイン機能を使用して http://homepage.example.com/ というアドレスのWebサイトを構築する。
- すでに設定してある ******@example.com というメールアドレスを使用するための設定に加え、 メールサーバーのバーチャルドメイン機能を使用して ******@mail.example.com というメールアドレスを使えるようにする。
- サーバーにSSHで接続し、rootアカウントを使用してログインします。
-
viなどのテキストエディタで /var/named/example.com.db ファイルを修正して下さい。
viで /var/named/example.com.db ファイルを開くコマンドは以下の通りです。[root@localhost ~]# vi /var/named/example.com.db
入力画面が表示されたら、ファイルの内容を編集します。
まず、「serial」の左に書かれている数字を今までより大きい数字に書き換えて下さい。
この数字はシリアル番号と呼ばれるもので、数字を増やすことにより セカンダリネームサーバーに設定ファイル(ゾーンファイル)の内容が更新されたことを知らせる仕組みになっています。
数字は4294967295以下の数であればどのような内容でも差し支えありませんが、 一般的に変更した日の日付に2桁の通し番号を付加した数字を記述することが慣例となっています。 ここでは「2010052001」の数字を1増やして「2010052002」に変更します。
さらに、ファイルの末尾に緑色で書かれた行を追加して下さい。- 「homepage」で始まる行が「homepage.example.com」というドメイン名を使えるようにする設定です。
- 「mail」で始まる行とその次の行が ******@mail.example.com というメールアドレス宛てのメールを このVPS(example.com)に配送するための設定です。
$TTL 86400 @ IN SOA ns.example.com. root ( 2010052002 ; serial 3H ; refresh 15M ; retry 1W ; expiry 1D ) ; minimum IN NS ns.example.com. IN NS ns4.sphere.ad.jp. IN MX 10 @ IN A 192.0.2.5 ns IN A 192.0.2.5 www IN A 192.0.2.5 homepage IN A 192.0.2.5 mail IN A 192.0.2.5 IN MX 10 example.com. (←***@mail.example.comの設定)
-
以下のコマンドを実行し、新しい設定内容を有効にして下さい。
[root@localhost ~]# service named reload
その後、homepage.example.com の正引きが行えることをご確認下さい。